民泊運営に保険は必要?選び方やおすすめを現役オーナーが解説

民泊を運営する際には、保険への加入が非常に重要です。一般の火災保険では民泊利用が補償対象外となる場合が多く、宿泊者の事故や設備破損などのトラブルで高額な損害を負うリスクがあります。
この記事では、民泊運営で想定されるリスクと、補償内容や信頼性の観点から選びたいおすすめ保険を、現役オーナーの視点でわかりやすく紹介します。

この記事の監修者:
吉岡良太
株式会社Break 代表取締役
不動産賃貸で法人化し2024年初から民泊経営を本格スタート。最初の2戸とも初月売100万超。
2025年3月時点で自社所有の民泊を6室、管理物件を6室運営しています。
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民泊運営で保険加入が必要な理由

民泊を運営する際には、専用の保険への加入が不可欠です。火災や盗難といった予測できないリスクから、事業者と宿泊客の双方を適切に保護できます。
必要な理由は以下の3点です。
- 一般住宅・事業者の火災保険が適用されない
- 民泊業者の保険はすべてのトラブルに対応できない
- 保険加入で民泊の信頼性が向上する
具体的な内容を見ていきましょう。
民泊は一般住宅・事業者の火災保険が適用されない
通常の住宅用火災保険は民泊として使用する物件には適用されません。一般的な火災保険は居住用や事業用として明確に区分されており、民泊は別カテゴリーと判断されるためです。
宿泊客による過失で火災が発生した場合、一般住宅の火災保険では「営業目的の使用」として補償対象外となり、オーナーに大きな損失が生じる可能性があります。
民泊を運営する際は、必ず民泊専用保険に加入し万が一の事態に備えることが大切です。
民泊仲介業者の保険はすべてのトラブルに対応できない
民泊運営には仲介業者の保険だけでは不十分で、専門の保険加入が必須です。というのも、仲介業者の保険には様々な制約があるからです。
物件所有者と運営者が異なる場合に補償が受けられないなど、予想外の盲点があり、運営者が思わぬ高額賠償を負うことになりかねません。
結局、民泊運営者は仲介業者の保険に過度に依存せず、リスクをしっかりカバーする専門保険への加入を検討すべきでしょう。
保険加入で民泊の信頼性が向上する
民泊保険への加入は、民泊の信頼性を大きく高めるポイントになります。保険に加入していることは、ゲストに「ここは安心して泊まれる」という強いメッセージを送ることになるからです。
専門保険に加入している物件は、火災や水漏れといった思わぬ事故が起きた際にも、修繕や補償の手続きがスムーズに行えるため、運営リスクを軽減できます。
ゲストに安心感を与えることで、結果的に事業の持続的な成長につながります。
民泊運営で考えられる4つのリスク

民泊経営では、さまざまなリスクに備えておくことが不可欠です。民泊では予想外のトラブルが起こりやすく、保証体制が不十分だと大きな損失につながることがあります。
特に注意すべきリスクは以下の4つです。
- 火災リスク
- 施設・設備の損傷リスク
- 盗難リスク
- 宿泊者の事故やケガのリスク
詳しく見てみましょう。
火災リスク
民泊運営において火災は深刻なリスクの一つであり、十分な対策をしなければなりません。世界中からやってくる様々なゲストが利用するため、思わぬ火の取り扱いミスが起こりやすいのです。
例えば、IHコンロに不慣れな外国人ゲストが操作を間違えて出火したり、たばこの火の不始末で深夜に出火して、眠っていたゲストが逃げ遅れる可能性もあります。
こうした事態の発生に備え、民泊専用の保険にしっかり加入し、誰にでもわかる防火の説明を用意しておくことが大切です。
施設・設備の損傷リスク
施設・設備の損傷も民泊運営者が直面するリスクの一つです。多くのゲストが短期間で入れ替わり利用するため、家具や内装が傷つく可能性が一般賃貸よりも高まります。
実際に、ワインやソースがじゅうたんにこぼれて染みになったり、外国人ゲストが電化製品の使い方を誤って壊してしまうケースがあり、その都度の修理や取替えにかかる出費は経営を圧迫します。
施設・設備の損傷リスクにも対応できる補償プランに加入するのが最善です。
盗難リスク
盗難が発生すると、修繕費や補償など思わぬ出費が発生することもあります。
不特定多数のゲストが短期間で入れ替わり利用するため、盗難リスクが一般住宅より高まります。
シャンプーなどの消耗品だけでなく、タオルや食器といった備品、さらにはテレビなどが持ち去られるケース、宿泊者間でお互いの持ち物が紛失するケースもあります。
チェックアウト後に気づくと犯人特定が難しい状況です。防犯カメラの設置や貴重品の固定といった対策と併せて、こうした被害をカバーできる民泊向け保険に加入したほうが良いでしょう。
民泊運営で発生するトラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>>民泊のトラブル事例と対処法まとめ|よくある苦情や相談先を紹介
宿泊者の事故やケガのリスク
民泊運営では、宿泊者の事故やケガなどへの備えも必要です。
お部屋を提供する側として、利用者の安全に対する責任を負うため、万一の際には賠償問題に発展する可能性があります。
想定されるのは、滑りやすい浴室での転倒や固定不十分な家具の転倒、ベランダの手すりからの転落など。
万が一このような事故が起きた場合、高額な治療費の負担に加えて、営業を続けることが難しくなることがあります。リスクを減らすためにも、十分な安全管理と適切な保険に加入しましょう。
民泊保険の選び方

民泊経営を安定して続けるためには、適切な民泊保険を選ぶことが求められます。
民泊を対象とする保険はいくつか存在しますが、それぞれ補償範囲や条件、対応の質に大きな違いがあります。比較ポイントは以下の3点です。
- 補償対象をチェックする
- 保険料・自己負担額を比較する
- 保険会社の信頼性を確認する
これらのポイントについて詳しく見てみましょう。
補償対象をチェックする
民泊保険を選ぶ際は、補償の対象範囲を丁寧に確認しておくことが望ましいです。民泊特有のトラブルにどの程度対応できるかを把握しておく必要があります。
外国からのゲストによる水漏れや設備の破損、ゲスト滞在中の転倒によるケガへの賠償責任、さらに騒音や貴重品の盗難など、多様なリスクに対してどこまで補償されるかを確認します。
また、免責事項を事前に把握しておくことで、万一の際に補償を受けられないトラブルを避けられます。契約前に保険の約款をよく読み、不明点があれば必ず確認しておきましょう。
保険料・自己負担額を比較する
保険料と自己負担額のバランスは、保険を選ぶ際の大切な判断要素です。民泊経営の規模や物件の特徴によって保険料は異なり、自己負担額も変わってきます。
自己負担額(事故の時に自分で払う金額)を高めに設定すれば月々の保険料は抑えられますが、事故時の支払いが増える点には注意が必要です。
複数の保険会社から見積もりを取り、自身の運営状況に合わせて、無理のない費用負担で補償内容が充実した民泊保険を検討すると良いでしょう。
保険会社の信頼性を確認する
保険会社の信頼性は、民泊保険を選ぶうえで重要なポイントの一つです。
安心して契約するには、支払い実績や対応力のある会社を選ぶことが重要です。
財務状況が安定し、格付け評価が高い会社は支払い遅延の心配が少なく、口コミで対応の丁寧さが確認できる企業なら、事故時も迅速で安心です。民泊対応の担当者がいる会社では、専門知識に基づくサポートが受けられ、不安を軽減できます。
経営体制やサービス対応を検討し、信頼性を重視して会社を選定しましょう。
民泊経営でおすすめの保険

民泊経営では、万が一の事故や損害に備え適切な保険に加入するのがおすすめです。火災や水漏れ、宿泊者のトラブルなど、実際に起こり得るリスクから経営を守ることで、安心して事業を継続できます。
おすすめの民泊保険は以下の通りです。
- 民泊保険(一般社団法人日本民泊協会)
- 民泊専用保険(三井住友海上火災保険)
- 日本ホスト保険(損保ジャパン)
- 民パック(東京海上日動火災保険)
それぞれの特徴を理解することで、適切な保険を選びましょう。
民泊保険 (一般社団法人日本民泊協会)
日本民泊協会の民泊保険は、民泊事業者のために設計された安心の総合補償制度です。民泊特有の事故や損害を幅広く支え、小さなトラブルにも確実に対応してくれます。
年間32,000円の一律料金で、火災や盗難、設備破損など多様なリスクをカバーできます。ただし、JAPA会員専用の保険であることに注意が必要です。免責金額の設定がないことも、同保険の特徴といえるでしょう。
日本民泊協会の保険は、高額補償と明確な料金体系で安心の民泊運営をサポートします。
民泊専用保険(三井住友海上火災保険)
三井住友海上保険の民泊専用保険は、民泊運営に特化した包括的な補償を備えた保険商品です。設備破損・賠償責任・近隣建物損害など、民泊特有の多様なリスクを一つの契約でカバーできます。
例えば、宿泊ゲストが誤ってキッチンで火災を起こし近隣の建物へ類焼した場合、近隣建物の損害を「事業者用類焼損害補償特約」で支払限度額1億円まで補償します。またゲストが備品を壊した場合でも、設備損害100万円までの基本補償が適用されます。
民泊運営に伴う「設備・人・近隣」へのリスクを簡便かつ幅広く備えられる安心の保険です。
日本ホスト保険(損保ジャパン)
損保ジャパンの日本ホスト保険は、費用負担なしで充実補償を受けられる安心の制度です。Airbnbホスト向けに特化し、予期せぬトラブルにも無償で対処します。
家財の破損は最大3億円まで補償され、宿泊者や第三者への賠償も1億円まで対応。ゲスト滞在中の損害を幅広くカバーし、ホストが安心して運営を続けられる効果があります。
損保ジャパンの民泊保険は、高額補償と無償提供でAirbnbホストの安全運営を支えます。
民パック(東京日動火災保険)
民パックは補償と運営支援を組み合わせた理想的な民泊向け保険。民泊特有のリスクに対応し、トラブル時の補償と日常運営の両面を支える設計です。
宿泊中の事故による対人・対物の損害を幅広く補償し、火災や受託物の破損にも対応します。さらに、多言語コールセンターが24時間体制でサポート。家具レンタルや清掃代行などの支援も受けられます。
民パックは補償と運営支援を兼ね備え、安心と効率を両立できる優れた保険です。
民泊の保険に関するよくある質問

民泊保険に関する疑問を解消することで、安心して運営できる体制を整えましょう。補償内容や費用の仕組みを理解しておくと、トラブル時の対応や経営リスクを大きく減らせます。
よくある質問として、次のような内容があります。
- 民泊保険の相場は?
- 民泊物件は地震保険も対象になる?
- 自宅で民泊をする場合の保険はどうする?
よくある疑問を押さえることで、補償内容の理解が深まり、より安全で安心な民泊経営につながります。
民泊保険の相場は?
民泊保険の一般的な費用相場は年間2~5万円程度です。物件の規模や設備、補償対象に含めるリスク(賠償責任・家財・火災・地震など)が異なるため、金額に幅がでてきます。
日本民泊協会の保険のように、建物の大きさに関係なく年間32,000円で加入できる例もあります。
運営内容やリスクの範囲に合わせて無理のない保険料で必要な補償を受けられるプランを選びましょう。
民泊物件は地震保険も対象になる?
民泊として使用している物件は、原則として地震保険の対象外です。地震保険は、居住を目的とした建物を前提に設計されており、収益を目的とする民泊物件は補償の対象に含まれていません。
万が一地震や津波、噴火などで建物や設備が被害を受けても、保険金が支払われないケースがあります。
民泊物件を運営する際は、地震保険が適用されないことを理解し、別の備えを検討しておくことが大切です。
自宅で民泊をする場合の保険はどうする?
自宅を使った民泊運営には、民泊専用の保険加入が必要です。一般的な火災保険では宿泊者を受け入れる場合、補償が適用されません。
通常の住宅保険は家族の居住を前提に設計されており、ゲストによる事故や物損は対象外です。
一方、民泊専用保険なら宿泊者のケガや設備破損、さらには近隣トラブルまで幅広く対応でき、安全な運営をサポートします。
自宅で加入している保険がある場合は、民泊を始める前に、保険会社へ運営を行う旨を連絡して相談しておくと安心です。
まとめ

民泊運営では、火災・盗難・設備破損・宿泊者の事故など、さまざまなリスクに備える必要があります。
一般の火災保険では補償されないケースもあるため、民泊専用保険に加入しておくと安心です。
補償範囲や費用、保険会社の信頼性を比較しながら、自分の運営スタイルに合った保険を選び、安全で安定した民泊経営を実現しましょう。
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