名古屋市の民泊「上乗せ条例」とは?営業制限や注意点を現役オーナーが解説

名古屋市で民泊を始める際に見落とせないのが「上乗せ条例」です。国の民泊新法だけを確認していると、想定どおりに営業できない可能性があります。

本記事では、名古屋市の上乗せ条例の内容や対象エリア、営業制限のポイントを現役オーナーの視点で解説します。

確認不足により起こり得るリスクや、開業前にチェックしておきたいポイントも参考にしてみてください。

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この記事の監修者:
吉岡良太
株式会社Break 代表取締役

不動産賃貸で法人化し2024年初から民泊経営を本格スタート。最初の2戸とも初月売100万超。
2025年3月時点で自社所有の民泊を6室、管理物件を6室運営しています。
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目次

名古屋市の民泊に「上乗せ条例」がある理由

名古屋市が民泊に独自の上乗せ条例を設けているのは、住宅地の暮らしを守り、近隣住民とのトラブルを避けるためです。

住宅宿泊事業法(民泊新法)では年間180日以内であれば営業できますが、名古屋市ではそれに加えて、住居専用地域で営業できる曜日や時間帯を制限しています。地域の実情に合わせたルールを設けることで、生活環境への影響を抑えるねらいがあります。

実際に、民泊の普及に伴い、騒音やごみ出し、見知らぬ人の出入りに対する不安などが全国的に課題となってきました。

名古屋市でもこうした状況を踏まえ、住民の生活環境を守る観点から上乗せ条例が定められています。

名古屋市の民泊「上乗せ条例」の内容

名古屋市では「名古屋市住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例」により、住居専用地域における住宅宿泊事業(民泊新法)の実施期間が制限されています

また、名古屋市旅館業法施行条例などの改正により、旅館業(簡易宿所等)として宿泊事業を行う場合も、許可申請前の営業計画の公表や周辺対応などの手続きが定められました

詳しく解説していきます。

【民泊新法】制限する区域

上乗せ条例の対象となる用途地域は、住居専用地域のうち、以下のとおりです。

  • 第1種低層住居専用地域
  • 第2種低層住居専用地域
  • 第1種中高層住居専用地域
  • 第2種中高層住居専用地域

なお用途地域は、名古屋市の「都市計画情報提供サービス」から確認できます。物件届出をする前に必ずチェックしておきましょう。閲覧方法については、こちらを参考にしてみてください。

【民泊新法】制限する期間

名古屋市の上乗せ条例により、上記の対象地域では月曜日の正午から金曜日の正午までは民泊営業ができません。ただし、国民の祝日の前日の正午から当該休日の翌日の正午までは、制限の対象外です。

そのため、対象地域では実質的に週末や祝日を中心とした営業となります。

住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊は、運営期間が年間180日と定められています。しかし、名古屋市のように上乗せ条例がある地域では、運営可能期間が180日を下回ることも少なくありません。

民泊営業の計画を立てる際は、用途地域と営業可能日数の両方を踏まえて収支シミュレーションを行うことが重要です。

出典:名古屋市「住宅宿泊事業(民泊) 届出

【旅館業】営業前の地域説明と対応

名古屋市では、令和7年4月1日施行の旅館業法施行条例改正により、周辺地域への配慮や苦情対応が条例上明確化されました。旅館業(簡易宿所等)として宿泊事業を行う場合、営業開始前の地域対応が重要となります。

主な内容は次のとおりです。

  • 営業計画を事前に作成し、公表する
  • 周辺住民から意見や要望があった場合は適切に対応する
  • 公表の実施状況および対応結果を市へ報告する

許可申請の準備と並行して、地域説明や対応体制の整備も進めておきましょう。

出典:名古屋市「旅館業法施行条例改正

【旅館業】玄関帳場(フロント)の代替措置

名古屋市で旅館業(簡易宿所)を行う場合、フロントを設置しない運営は可能ですが、一定の管理体制を整える必要があります。

2018年の旅館業法改正により、タブレットなどのICT機器を活用した無人対応が認められ、玄関帳場(フロント)の常設は必須ではなくなりました。

ただし、代替措置をとる場合は、緊急時に係員がおおむね10分以内に駆け付けられる体制を整える必要があります。

以前は、名古屋市の旅館業法施行条例等の運用基準において、「施設から概ね1km以内」に管理拠点を設けることが求められていましたが、令和7年4月1日の改正により、現在は「おおむね10分以内に到着できる体制」が基準となっています。

実際の運用については、事前に管轄の保健センターへ確認しましょう。

出典:名古屋市「旅館業に係る規制の見直しについて」

民泊新法と旅館業法の違いは、以下の記事を参照してください。

>>民泊規制とは?民泊新法と旅館業法の違いや180日ルール、罰則を徹底解説します

名古屋市の上乗せ条例を知らずに進めた場合のリスク

注意

名古屋市の上乗せ条例を十分に確認せずに民泊事業を始めると、想定していた運営ができない可能性があります。ここでは上乗せ条例を確認せずに民泊を行った場合のリスクをまとめました。

賃貸・売買契約後に営業できなくなる

賃貸で物件を借りる場合や、新たに物件を購入する場合には、契約前の用途地域確認が特に重要です。用途地域や上乗せ条例の制限は、募集情報や不動産サイトの説明だけでは分かりにくいことがあります。

事前に用途地域や制限を確認しないまま契約すると、後から「平日は営業できない」などの制限に気づき、営業計画の見直しを余儀なくされるかもしれません。

特に名古屋市では住居専用地域では週末しか営業できず、年間180日の営業を前提とした収支計画は適応できません。稼働可能な日数に見合った収支計画が必要です。

契約後の条件変更や解約は手間と費用がかかり、多くの場合で運営計画の見直しが必要になります。開業前には民泊に適した物件に加え、「エリアの制限(用途地域・曜日・時間帯)」を確認して契約や準備を進めましょう。

民泊に適した物件については、以下の記事を参考にしてみてください。

>>民泊物件の探し方ガイド|高収益を狙える物件や見つけ方のコツを現役オーナーが解説

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管理会社・大家とのトラブルにつながる

上乗せ条例による営業制限を不動産の管理会社や大家と事前に共有していないと、営業日数や運営方法をめぐって、トラブルになる可能性があります。

特にマンションでは、管理規約で民泊が制限されている場合や確認周知不足が原因で、後から運営制限を求められるケースもあります。

民泊運営では、管理会社や大家、管理組合への説明と合意を得ることが重要です。開業前の確認と情報共有が、長期的な安定運営につながります。

民泊のトラブルについては、以下の記事を参考にしてください。

>>民泊のトラブル事例と対処法まとめ|よくある苦情や相談先を紹介

名古屋市で住宅宿泊事業の民泊が難しい場合は?

名古屋市の上乗せ条例により、住宅宿泊事業での民泊運営が困難な場合、他の活用方法を検討するのも選択肢です。主な方法は次の2つです。

  • 旅館業(簡易宿所)として開業する
  • 賃貸物件として活用する

それぞれの特徴をまとめました。

旅館業(簡易宿所)として開業する

住宅宿泊事業とは別に、旅館業(簡易宿所)として許可をとり、民泊を運営することも可能です。旅館業では年間180日といった営業日数の制限がなく、通年営業が可能です。そのため、収益の安定性が期待できます。

一方で申請には、建築基準法や消防要件など、住宅宿泊事業よりも厳しい基準をクリアしなければなりません。また住居専用地域では営業できないため、物件の立地選びも重要です。

また、先述した通り、旅館業についても名古屋市では独自の条例により、営業計画の公表や住民対応が求められています。

項目住宅宿泊事業(民泊新法)旅館業(簡易宿所)
おすすめ手軽に副業で始めたい人収益最大化を目指す人
営業日数年間180日以内365日OK
名古屋の制限住居専用地域は平日禁止商業地域などが中心
手続き届出(比較的かんたん)許可(審査が厳しい)

制度の違いを理解した上で、立地条件やコストを含め、総合的に検討しましょう。

民泊新法から旅館業に転向したい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。

>>旅館業の用途変更とは?民泊からの転換で必要となるケースや手続き、注意点を現役オーナーが解説

賃貸物件として活用する

民泊にこだわらず、賃貸として活用する判断も選択肢のひとつです。賃貸であれば民泊特有の条例や運営制限を受けず、近隣トラブルのリスクも軽減できます。

月額賃料による安定収入が見込めるので、安定した活用を重視したい場合におすすめの方法です。

名古屋市で民泊を開業する前に確認すべきポイント

チェックポイント

名古屋市で民泊を始める場合、「用途地域」と「上乗せ条例の対象かどうか」を確認することが重要です。国の法律だけを前提に計画を立てると、想定どおりに営業できないことがあります。

特に住宅宿泊事業で運営する場合、住居専用地域では平日の営業ができません。契約後に気づくと、収支計画の見直しが必要になる可能性があります。そのため、開業前には次の点を必ず確認しておきましょう。

  • 物件の用途地域はどこか(住居専用地域かどうか)
  • 上乗せ条例の対象に該当するか
  • 想定している営業日数が確保できるか
  • 管理規約や賃貸契約で民泊が認められているか
  • 消防設備の基準を満たせるか

以下の記事では、名古屋市で民泊を始める方法をSTEP式で解説しています。

>>【名古屋】民泊の始め方を徹底解説!事前準備から届出まで現役オーナーが直伝

まとめ

名古屋市で住宅宿泊事業の民泊を検討する場合は、民泊新法の年間180日ルールだけでなく、上乗せ条例による曜日・時間帯の制限まで確認することが欠かせません。

用途地域を調べずに物件を契約すると、「平日は営業できない」「想定より稼働日数が少ない」といった状況になり、収支計画の見直しが必要になることもあります。

契約前に用途地域や営業可能日数、管理規約の有無などを確認し、条件を整理したうえで準備を進めていきましょう。

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この記事を書いた人

東海3県を中心に民泊運営・管理、不動産売買を行っています。儲かる大家が増えるために徹底サポートさせていただきます。

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