【民泊】家主居住型・家主不在型を徹底比較!違いやメリットをプロが解説

民泊には「家主居住型」と「家主不在型」の2つの運営形態があり、関与の仕方や費用、必要な設備基準まで変わります。
民泊を始める前にこの違いを理解しておくことで、不要なリスクや無駄なコストを避けられます。
この記事では両者の特徴・メリット・デメリットを整理し、自分に合う運営スタイルを選ぶ際の判断材料をわかりやすく解説します。

この記事の監修者:
吉岡良太
株式会社Break 代表取締役
不動産賃貸で法人化し2024年初から民泊経営を本格スタート。最初の2戸とも初月売100万超。
2025年3月時点で自社所有の民泊を6室、管理物件を6室運営しています。
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民泊における家主居住型と家主不在型の違い

民泊の「家主居住型」と「家主不在型」の違いは、家主が同じ住宅内に住んでいるかどうかにあります。この違いによって、届出や管理できる範囲、必要となる安全基準が変わるため、自分の運営スタイルに合う形を選ぶことが大切です。
そこで、両者の違いについて以下の4点を整理しました。
| 比較項目 | 家主居住型 | 家主不在型 |
|---|---|---|
| 定義 | 家主が同じ住宅に居住しながら運営する民泊 | 家主が同じ建物に住んでいない形態の民泊 |
| 運営の特徴 | 対面対応が中心。ゲストとのコミュニケーションが取りやすい | 非対面運営・オンライン管理が中心。複数物件運用にも向く |
| 管理業務の委託 | 自分で管理すれば委託不要 | 住宅宿泊管理業者への委託が必須 (※自ら管理業者登録すれば自己管理も可能) |
| 消防・安全基準 | 宿泊室床面積50㎡以下は住宅扱い(自動火災報知器は不要)/超えると宿泊施設扱いに | 床面積に関係なく宿泊施設扱い。消防設備の設置が必要 |
「家主居住型」と「家主不在型」のどちらかで迷っている場合は、最初に詳しく確認しておきましょう。
定義の違い
家主居住型と家主不在型の定義の違いは、家主が同じ住宅に住んでいるかどうかです。
家主居住型の定義
家主居住型とは、届出住宅に人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が居住している運営方法です。民泊ホストが同じ住宅内に住んでいるので、「ホームステイ型」とも呼ばれます。
家主不在型の定義
家主不在型民泊は、家主が同じ建物に住んでいない形態の民泊です。アパートやマンションの一室、または別荘など、家主が日常的に居住していない物件を宿泊施設として提供する形態を差します。
家主居住型に該当しない届出住宅は、全て家主不在型になります 。
まずは自分の物件がどちらにあたるのか、最初に整理しておくとスムーズです。
運営形態と仕組みの違い
家主居住型と家主不在型の運営形態の違いは、ホストの関与度とコミュニケーションの取り方にあります。
家主居住型の場合
家主居住型は、家主自身がゲストを迎え入れます。対面でのコミュニケーションが取れるのが特徴です。
家主不在型の場合
家主不在型は、オンライン対応や非対面チェックインなど、仕組み化された運営が中心。鍵管理やゲスト対応もシステム化しやすく、複数物件の運用にも向いています。
自分がどこまで関わりたいかで、取り組みやすい運営タイプは変わってきます。
管理業者に委託できる範囲の違い

管理委託の範囲における違いは、「管理業務を管理業者へ委託する義務があるかどうか」にあります。
家主居住型の場合
家主居住型の場合は家主が自ら管理をすれば、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託しなくてもよいとされています。委託費用がかからないため、ランニングコストを抑えられます。
家主不在型の場合
家主不在型の場合は、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託しなければなりません。ただし、自分自身が住宅宿泊管理業者登録をすることで、自ら管理業務を行うことは可能です 。
委託費用が発生するかどうかは、運営コストに直結するため、事前に確認しておくことが重要です。
安全基準や設備要件の違い
「宿泊施設として扱われるかどうか」によって、安全基準や設備要件も変わってきます。
家主居住型の場合
宿泊室の床面積合計が50㎡以下であれば、宿泊施設ではなく住宅としてみなされます。自動火災報知器の設置義務はありません。
ただし、家主居住型でも、宿泊室の床面積合計が50㎡を超える場合は宿泊施設扱いとなり、消防設備の設置が必要です。
家主不在型の場合
床面積に関係なく、消防法では旅館やホテルと同じ宿泊施設として扱われます。誘導灯や消火器などの消防設備を設置する必要があります。
設備導入コストも変わるため、事前に想定しておくことで無駄な費用負担を防げます。
家主不在型の民泊の始め方は、以下の記事を参考にしてみてください。
>>【ゼロからわかる】民泊の始め方と注意点・必要な手続き完全ガイド|現役オーナーが徹底解説
家主居住型のメリット・デメリット

家主居住型の民泊は、コストを抑えやすく初心者には始めやすい点が魅力です。反面、家主とゲストが同じ空間で生活することで生じる制約やリスクもあります。
ここでは、家主居住型を選択する際に知っておきたい、メリットとデメリットを見ていきましょう。
家主居住型のメリット
家主居住型の主なメリットは、以下の3つです。
- 不動産の購入・賃貸費用がかからない
- 住宅宿泊管理業者に委託しなくていい
- 物件の資産価値が上がる可能性がある
家主居住では自宅の空き部屋や使っていないスペースを活用するので、新たに物件を取得する必要がありません。初期投資を大幅に抑えられ、民泊初心者でも始めやすいのが魅力です。
また家主が自ら管理すれば、委託のコストがかからない点もポイント。さらに宿泊施設としての収益実績が積み上がることで、物件の資産価値が上がる可能性もあります。
家主居住型のデメリット
家主居住型の主なデメリットは、以下の3つです。
- プライバシーへの影響
- 民泊保険への加入が必要
- 住宅ローンと控除を受けられない可能性がある
家主とゲストが同じ建物内に滞在するため、生活音が気になったり、生活スペースを共有することで気を遣う場面が生じます。
またゲストによる施設の破損や、近隣への迷惑行為、火災などのトラブルへの備えは、通常の火災保険だけでは不十分です。民泊専用の保険に加入することが推奨されていますが、そのぶんコストが増えることにも注意が必要です。
さらに住宅ローンを利用している場合、民泊運営を始めると一括返済を求められたり、控除が受けられなくなったりする可能性もあります。事前に金融機関や税理士に確認しておくことが重要です。
家主居住型の民泊の始め方は、以下の記事で詳しく解説しています。
内部リンク
>>【自宅民泊の始め方】初期費用や手順、注意点まで徹底解説!
家主不在型のメリット・デメリット

家主不在型の民泊は、現地に住まずに複数物件を運用できる柔軟さがある一方、設備・管理面のコストがかかる場合があります。適切な委託体制や運営設計が重要となるため、選ぶ前に特徴を理解しておくことが大切です。
ここでは、家主不在型のメリットとデメリットを整理します。
家主不在型のメリット
家主不在型の主なメリットは、以下の3つです。
- 遠い場所の物件も有効活用できる
- お互いのプライバシーが確保できる
- ゲストがスペースを広く使える
家主不在型の場合、遠い地域にある空き家であっても、業者に管理を任せることで民泊として運用が可能になります。本業と両立しながら副収入を得たい方や、複数の物件を運営したい方におすすめです。
また家主が不在になるため、民泊の利用者のプライバシーへ配慮できます。ゲストは自由に施設を利用でき、家主に気を遣うことなくリラックスして過ごせるので、満足度も高まるでしょう。
さらに家主の居住スペースを確保する必要がないため、ゲストに対してより広いスペースを提供することができます。
家主不在型のデメリット
家主不在型の主なデメリットは、以下の3つです。
- 委託費用がかかる
- 消防法の基準が高くなる
- トラブルのリスクが高まる
家主が現場にいないため、原則として住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する必要があります。清掃なども業者委託になると、ランニングコストが高額になるケースもあるでしょう。
また床面積に関係なく宿泊施設扱いとなるため、消防設備などの初期投資が必要になる場合があります。
さらに利用者の様子を直接監視できないため、隣人トラブルなどが起きやすくなります。緊急時に備え、運営中はいつでも連絡が取れる体制を整えておきましょう。
民泊におけるトラブルについては、以下の記事を参考にしてみてください。
>>民泊のトラブル事例と対処法まとめ|よくある苦情や相談先を紹介
家主居住型と家主不在型、どちらの民泊が自分に向いている?

家主居住型と家主不在型のどちらが適しているかは、「どんな運営スタイルを望むか」で決まります。自宅でするのかやゲストとの関わり方、運営の目的などが異なるためです。
判断のヒントとして、家主居住型と家主不在型、それぞれに向いている人の特徴を整理しました。
家主居住型の民泊が向いている人
家主居住型は、ゲストと距離が近く、対話しながら運営できるのが特徴です。こんな方に向いています。
- ゲストとのコミュニケーションや交流を楽しみたい
- 自宅の空き部屋や使っていないスペースを活用したい
- 初期投資や固定費を抑えて始めたい
- 在宅ワーク・自営業など、自宅にいる時間が長い
- 少人数・細やかなサービスを提供したい
「小さく始めながら、自分の生活に溶け込む形で運営したい」なら家主居住型が選びやすい選択です。
家主不在型の民泊が向いている人
家主不在型は、仕組み化と収益性を重視したい人に適した運営形態です。こんな方に向いています。
- 空き家や別荘などの物件を収益化したい
- 本業と両立しながら民泊収入を得たい
- 投資用不動産の活用方法として検討している
- 自分が住んでいない物件も運用したい
- 管理業務は委託で効率化したい
「収益性や拡張性を重視しながら運用したい」なら家主不在型が向いているでしょう。
家主居住型・家主不在型に関するよくある質問(Q&A)

民泊の運営では、家主居住型と家主不在型の違いで判断に迷う場面も少なくありません。例えば以下のような質問があります。
- 家主居住型は管理業務委託が可能か
- 家主不在型は自己管理が可能か
- 家主居住型で住宅ローンは利用できるか
これらの疑問について答えていきます。
家主居住型でも管理業務を外部委託できる?
家主居住型でも外部に管理を依頼することは可能です。
ただし、委託した場合でも、住宅宿泊事業法の第5条~10条に規定される義務の責任は住宅宿泊事業者(家主側)が負います。
<住宅宿泊事業法>
- 宿泊者名簿の備付・保存義務(法第5条)
- 苦情・問い合わせへの対応義務(法第6条)
- 近隣住民への配慮義務(法第7条)
- 衛生確保のための措置(法第8条)
- 安全確保のための措置(法第9条)
- 宿泊者数の制限など条例遵守義務(法第10条)
出典:国土交通省「住宅宿泊事業法 FAQ集」
出典:e-Gov法令検索「住宅宿泊事業法」
コスト削減によるメリットと委託による負担軽減のどちらを重視するかで判断しましょう。
家主不在型は自分で管理することができる?
原則として、家主不在型の場合は、住宅宿泊事業者自身で管理業務を行うことができません。ただし、自分自身が住宅宿泊管理業者登録をして管理業務を行うことは可能です。
家主居住型で住宅ローンは利用できる?
一般的な住宅ローンは「本人が居住する住宅」を前提としています。家主居住型でも、自宅の一部を民泊用として貸し出す場合、金融機関によっては用途変更とみなされ、規約違反となる可能性があります。事前に金融機関へ確認しておくことが重要です。
一方、家主不在型で投資用物件を購入する場合は、最初から事業用ローン(アパートローン・投資用ローン)を利用することでトラブルを防げます。
まとめ

家主居住型と家主不在型は、それぞれに向いている運営スタイルや注意点が異なります。どこまで自分が関与したいか、何を優先したいかによって最適な選択は変わります。
違いを比較しながら検討することで、初期費用やランニングコストの無駄を抑えられます。迷ったときは、目的と関わり方のバランスを基準に判断してみてください。
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