民泊の利益率は何%?計算方法や低下要因、7つの改善策を解説

観光庁観光産業課の調査によると、民泊の利益率は平均15.9%という結果が出ています。ただし、物件によっては赤字運営のケースもあれば、40%以上の高収益を実現する事例もあり、その差は大きいのが実情です。

利益率を上げるには、コスト管理と稼働率改善がポイントです。また、立地条件や差別化戦略も欠かせません。

この記事では、利益率の計算方法や低下要因を解説し、収益性を高める7つの改善策を紹介します。

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この記事の監修者:
吉岡良太
株式会社Break 代表取締役

不動産賃貸で法人化し2024年初から民泊経営を本格スタート。最初の2戸とも初月売100万超。
2025年3月時点で自社所有の民泊を6室、管理物件を6室運営しています。
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目次

民泊の利益率は平均15.9%

出典:観光庁観光産業課「住宅宿泊事業の実態調査」

観光庁観光産業課の調査によると、民泊経営の収益性は平均15.9%です。ただし、実態はかなり幅広い分布を示しています。

最も多いのは5%未満の低収益物件で全体の22.7%を占め、赤字運営も15.2%存在します。一方で、40%以上の高い利益率を実現している施設も8.3%あり、二極化の傾向がみられます。

地域による差も顕著で、特に東京都特別区では競争激化や高コスト構造により、利益率が低下しやすい状況です。収益率が高い事例と低い事例の差は、立地選定や運営方法、コスト管理の巧拙によるものと考えられます。

民泊の利益率の計算方法と具体例

利益率とは、総売上高に対する純利益の割合を示す指標です。これは投資効率や経営健全性を評価する重要な数値となります。計算式は以下の通りです。

  • 利益率(%) = (利益 ÷ 売上) × 100
  • 利益 =売上 – コスト

コストには清掃費、設備維持費、予約サイト手数料、消耗品費などが含まれます。

例えば、月間売上が200万円、運営コストが120万円の場合、利益は80万円となります。この場合の利益率は(80万円÷200万円)×100=40%です。

収益性向上には売上増加かコスト削減のいずれかが必要です。

民泊の利益率が低くなる主な要因

民泊事業の収益性を左右する要因は多岐にわたります。主な要因は以下の5つです。

  • 立地の悪さや差別化不足による集客難
  • 稼働率の低下
  • 激しい価格競争
  • 運営コストの増加
  • 年間180日の営業日数制限

これら5つの要因について掘り下げます。

立地の悪さや差別化不足による集客難

立地が弱く差別化も不十分な物件は集客が難しくなり、結果として利益率が下がります。駅や主要路線、飲食店、観光地から遠いと選ばれる理由が弱くなり、値下げに走ってしまうためです。

【立地条件の比較】

観点良い立地悪い立地
交通アクセス駅・主要交通に近い主要交通から遠い
生活利便飲食店・コンビニが近い飲食・買い物が不便
観光・商業観光地・商業施設に近い観光地・商業施設から遠い

差別化のポイントは以下の2点です。

  • 競合との独自性
  • 特別な体験の提供

これらの要素が欠けると、価格以外の選択理由がなくなり、予約率が低下してしまうのです。

稼働率の低下

民泊の予約日数が減ると収益が落ち込み、利益率が大幅に低下します。なぜなら、宿泊施設は空室があっても家賃や設備維持費などの固定経費は変わらないからです。予約が少ないと、これらの費用を賄うのが難しくなります。

例えば、月の使用率が70%(約21日間の予約)の物件と50%(15日間)の物件では、収入に大きな差が生じます。予約状況の悪化は経営を圧迫し、最終的には収支がトントンになったり、赤字経営に陥ったりするリスクがあります。

激しい価格競争

似たような民泊物件が増えると、宿泊料金の値下げ合戦が起きやすく、収益が圧迫されます。宿泊費を下げても、賃料や掃除代、予約サイトへの手数料などの出費はほとんど変わらないので、価格競争に巻き込まれてしまうのです。

たとえ、安い料金で客を集めても、必要な経費をカバーできず、収支がマイナスになるケースも少なくありません。値下げ競争は一時的な予約増加につながっても、長期的には経営を不安定にし、持続可能な事業運営を困難にします。

運営コストの増加

民泊の運営にかかる経費が上昇すると、収入が変わらなくても手元に残るお金が減少します。清掃料金の値上げ、設備の維持費用の増加など運営コストが増加すると、様々な要因で支出が膨らみ、利益を圧迫します。

例えば、以前は1回5,000円だった清掃料金が7,000円に上昇したり、修繕費が予想以上にかかったりすると、毎月の収支バランスが崩れます。経費増加は直接的に儲けの割合を下げるため、適切なコスト管理が民泊経営の継続には不可欠です。

以下の記事では、Airbnbを活用した民泊運営の収支シミュレーションを解説しています。利益率を考慮するする際の参考にしてみてください。

>>Airbnb民泊が儲からない4つの理由|対策と収支シミュレーションを解説

年間180日の営業日数制限

民泊は住宅宿泊事業法により年間180日までしか営業できません。ホテルのように通年営業できないため、売上機会は制限されます。

一方で、家賃や光熱費といった固定費は1年間発生し続けるので、稼働日数が限られる中で採算を取らなければなりません。

規定を超えて営業すると罰則の対象となるため、限られた営業日数で採算を取る必要があります。

民泊の利益率に直結する運営コスト一覧

利益率を上げるには、運営コストを管理することが不可欠です。稼働や単価を上げても固定費・変動費が積み上がるほど利益率が伸びにくくなります。運営コストの目安は以下の通りです。

【運営コストの一覧】

項目費用の目安
清掃費用5,000~/回
光熱費・通信費月5,000円~
消耗品・アメニティ代月5,000円~
民泊プラットフォーム手数料売上の3%~
保険・税金関連保険料+各種税金
管理費宿泊料の15~20%+清掃費

まずは毎月のコストを見える化し、金額の大きい項目から見直しましょう。契約や発注単価の交渉、作業の効率化でムダを減らせます。

民泊の初期費用や運営費用については、以下の記事も参考にしてみてください。

>>民泊運営の費用はいくら?初期費用・運営費用、コスト削減のコツを現役オーナーが解説!

民泊の利益率を上げる7つの改善策

利益率を上げるには、コスト削減と売上拡大の両輪で進めることが重要です。利益は「売上 − コスト」で決まるため、どちらか一方だけでは伸びが頭打ちになります。

  • コストを削減する
  • 売上を増やす

ここでは、コスト削減で2つ、売上アップで5つの改善策を解説します。

コストを削減する

民泊事業の収益性を高めるには、支出の適切な管理が不可欠です。変動費と固定費の両面からコスト削減策を実施することで、利益率を大幅に改善できます。

  • 変動費(清掃費やOTA手数料など)を抑える
  • 固定費(通信費・光熱費など)を抑える

変動費と固定費の削減方法について詳しく見ていきましょう。

変動費(清掃費やOTA手数料など)を抑える

変動費を見直すことで、直接的に利益率を向上させることができます。清掃費や予約サイト手数料、消耗品費などの最適化が重要です。具体的な削減策は以下の通りです。

  • 清掃業者と長期契約を結ぶ
  • 清掃チェックリストを作成する
  • 連泊時のセルフ清掃を提案する
  • SNSを活用して自社サイトからの直接予約を増やし、OTA手数料を削減する
  • 消耗品の大量仕入れで単価を下げる
  • 消耗品の使用量を定期的にチェックして補充量を計算するリスト

これらの対策により、変動費をある程度下げることができます。

固定費(通信費・光熱費など)を抑える

民泊経営では、稼働率に関わらず発生する固定費の削減が長期的な収益性向上のカギとなります。日々の運営コストを見直し、無駄を省くことで利益率を高められます。

具体的な施策は以下の通りです。

  • 格安通信会社への乗り換え
  • LED電球や節水装置の導入
  • 中古家具・家電の活用
  • 保険プランの最適化
  • スマートホーム機器による電力管理

これらの対策により、毎月の固定支出の削減が期待できます。特に省エネ設備への投資や通信プランの変更は初期費用がかかるものの、長期的には大きなコスト削減につながります。

売上を増やす

民泊事業の収益性向上には、コスト削減だけでなく積極的な売上拡大策も重要です。適切な価格設定、ターゲティング、顧客維持戦略を組み合わせることで、大幅な売上アップが期待できます。主な施策は以下の通りです。

  • 立地やシーズンに合わせた宿泊単価を設定する
  • ターゲットを絞って差別化する
  • リピーターを増やす工夫をする
  • 長期滞在プランを活用する
  • オプションサービスで追加利益を得る

それぞれの施策について見ていきましょう。

立地やシーズンに合わせた宿泊単価を設定する

時期や状況に応じて柔軟に料金を変更することで、収益を最大化できます。「変動料金制」を導入すれば、需要と供給のバランスに合わせて宿泊費を最適化できます。観光シーズンやイベント開催時には高めの価格設定が可能です。

例えば、花見の時期や大型連休、年末年始など予約が集中する時期は通常より2〜3割増しに設定し、逆に閑散期は割引料金で稼働率を維持します。固定価格ではなく変動制を導入することで、年間を通じた総売上と施設の稼働率を向上させることができます。

ターゲットを絞って差別化する

民泊事業の競争力を高めるには、「誰でも泊まれる宿」ではなく、特定の顧客層のニーズに特化した宿泊体験を提供することが効果的です。明確なターゲット設定により、お客様の満足度が高まり、適正価格での予約獲得が可能になります。

  • 女子旅グループ
  • 記念日を祝うカップル
  • 小さな子供連れファミリー
  • 長期滞在のビジネス客
  • 日本文化体験を求める外国人

ターゲットに合わせた設備やサービスを提供することで、他の民泊との差別化が図れます。ゲストが喜ぶポイントに的確に投資することが、集客や満足度向上につながります。

リピーターを増やす工夫をする

リピーターを増やすことは、効率的に予約を安定させ、利益率を高める近道です。新規獲得は広告費や手数料・対応工数がかかる一方、既存ゲストは再訪コストが低く、口コミ拡散も見込めます。

例えば、ゲストの名前を覚えて親身に対応する、チェックアウト後に感謝のメッセージを送る、地域の季節情報をSNSで発信するなどの工夫をしてみましょう。

こうした取り組みによって宿のファンを増やし、口コミでの紹介も促進できます。特典付きの再訪プランを用意することも効果的です。

長期滞在プランを活用する

数週間から数ヶ月の長期利用プランを提供することで、安定した収益を確保できます。連泊によって空室リスクが減少し、予約が埋まらない心配が軽減されます。また、日々の清掃や鍵の受け渡し作業が少なくなるため、運営の手間も省けます。

7泊以上で10%オフ」「月単位の割引料金」などの特典を設定し、ワーケーションや長期出張のビジネスマン、療養中の方などにアピールしてみましょう。

1泊あたりの単価は下がりますが、稼働率の向上と管理コスト削減で総合的な利益率が向上します。

オプションサービスで追加収益を得る

基本の宿泊料金以外に、さまざまなサービスを追加することで、滞在単価を上げられます。ゲストは利便性や特別な体験に対して追加料金を支払う傾向があり、選択肢を増やすことで、満足度も高まります。

空港からの送迎サービス、自転車レンタル、地元の観光ガイド、着物体験、特産品の販売など、地域や施設の特性を活かしたオプションが人気です。外国人のためのサービスとして、浴衣の貸し出しやアニメ関連のイベント開催も一つの方法です。

こうした付加価値サービスは、宿泊費だけでなく追加収入をもたらすとともに、口コミ評価の向上にもつながります。

まとめ

民泊の利益率は、固定費や清掃費などのコスト、稼働率、立地条件といった要素に大きく左右されます。自分の運営状況を正しく把握し、改善を重ねることが欠かせません。コスト削減と売上拡大の両面で工夫することが、安定した収益を確保するカギです。今回紹介したポイントを、経営改善の参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

東海3県を中心に民泊運営・管理、不動産売買を行っています。儲かる大家が増えるために徹底サポートさせていただきます。

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